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志乃の不定期更新日記
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2年ぶりの掲載になるようです
天候シリーズ!
多分、第3話の小雨です

多分なのはこれが3話でいいのか?と自分でもわからないからですw
番外編扱いにするべきかなー・・・とか思いながらとりあえず、今は第3話扱いでw

----------------------
第3話:小雨


どんよりと重たく黒い雲が空を覆う
先程まで降っていた雨は、今は小雨が降っている程度のようだ。

「なぁ、駆!今日遊んでから帰んねぇ?」
同じクラスで家も近いこともあり、親しくしている鷺川望がそう言いながら俺の背中に体重をのせ、のしかかってくる
「無理。おい、望!重いから退けって」
軽く手で望を押して背中から退かそうとしたが、なかなか離れない
「えー、最近ずっとじゃん!たまには遊べよー!お前の家行ってもお前シカトするし!」
まさか家に誰か来るだなんて考えていなかったので、望の言葉にドキッとする
「あぁ…、俺今知り合いの所に居候しててさ、家に行っても誰も居ないんだよ」
なんだか言い訳がましくなったけれど、事実なのだから仕方ない。
「え、なにそれ?おばさん達今いないの?」
「そう。ちょっと、色々あってさ」
望に今までのことを話したくなかったのでそれだけ言って帰る準備をする。

「ふーん。でもちょっと遊ぶくらいいいじゃんー寄り道して帰ろうよ」
そう言いながら揺すってくる望を今度こそ背中からはがして
「嫌だ。それに、知り合いが迎えに来てくれるから無理」
今日も送り迎えに誰か来てくれてるはずだから、待たせるのは申し訳ない。
「そんじゃあ、俺帰るから」
「えっ、ちょっと駆!待って!」
鞄を持って立ち上がりドアへ向かった俺に望は焦ったのか、俺の後ろ襟をグイッとつかんだ
「うわっ」
捕まれ引っ張られたことでバランスを崩して俺は後ろへと倒れる
床に叩きつけられる!と衝撃を予想して目を閉じた…が、なかなかその衝撃は訪れない。
恐る恐る目を開けると望の顔がすぐ近くにあってビックリした
どうやら倒れた時に咄嗟に俺を抱えてくれたようだ
「…望…」
「駆…その…悪い。足挫いたりしてない?大丈夫?」
謝る望に、反省してるならいいかと許すことにする
「いいよ。俺は怪我してないし。望は大丈夫か?」
「あ、あぁ、お前軽いし」
言われた一言に思わず望を殴る
体重落ちてるのは自覚してるけど、わざわざ軽いなんて言われたくない
「いったぁ…けど、マジで痩せたんじゃねぇか?」
「うるさい」
ふと望の腕の中に収まっている状態に気づいて立ち上がろうとしたらぐいっと腰を持たれ、戻された
おいおい、何してるんだよ!
さっきのは事故だから誰も気にしてなかったみたいだけど、今のは皆二度見したぞ?!
望から離れようともがき抵抗するがなかなか離れない
「なぁ、駆。今日は俺と帰るよな?」
げっ、こいつまだ諦めてなかったのか?
「だから!知り合いが迎えに来るから無理だって言ってるじゃん!手離せ!」
なんとかして望の手から逃げようとするが体格差を利用して抑えこまれた
こういう時にもっと筋肉があればと思う
「チッ、おい!離せ!」
「嫌~駆が一緒に帰ると言うまで離さない!その知り合いに時間ずらしてもらってよ」
「何でだよ。てか、今日は一段としつこくないか?」
「…だって、今日はお前、誕生日じゃん」
誕生日…?
望に言われて、最近ドタバタしていたのですっかり忘れていたが、今日、10月4日は俺の誕生日だと気づいた。
そして、そのことを覚えてくれていた望にビックリして抵抗をやめた
「なんだよ?俺が覚えてたことがそんなに不思議なのか?」
「いや、不思議っていうか…ビックリしたっていうか、嬉しくて。覚えててくれてありがとう、望。けど、俺の誕生日と遊びに行くの、どう関係してるんだよ?」
「…バカ。だから、祝ってやろうと思って…色々考えてたんだよ!」
「そっか…ありがと。でも、ごめんな。今日はもう迎えに来てくれてるだろうから、無理だ。覚えててくれただけで充分嬉しかったし」
「…じゃあ、明日は?知り合いの家に居るって言っても、毎日迎えに来てもらってるわけじゃないんだろ?」
毎日迎えに来てもらってる、とは何だか言い難い聞き方をされた
「えーっと、じゃあ、明日は遊んで帰っていいか、聞いてみるよ」
でも、望には悪いけど遊んで帰るつもりはなかった
父さんと母さんが借金で苦しんでいるのに、俺が遊ぶことなんてできない
「絶対だからな!」
「聞いてみるだけだから。絶対遊べるとは約束しないからな」
ちゃんと言い逃れできるように釘をさしておく
「そういうわけだから、今日はもういいだろ?おい、離せよ、腕」
腰回りに回っている腕をたたいて放せと訴えていると、教室の扉がガラリと音を立てて開いた
「このクラスに矢崎駆という生徒はいますか?」
そう言いながら入ってきた人を見て焦った
「沢木さん!」
「駆?って…何してるんですか?」
こちらを視界に入れて、俺達の恰好を見てそう聞いてきた
そりゃ、誰だってそう聞きたくなるよね…
「ちょっと、色々あって。すみません、遅くなって…おい、望!マジで離せってば」
「チッ、仕方ないな。駆、あの人が知り合いで迎えに来た人?」
ようやく腕を離してくれた望の頭を軽く押して
「そう!じゃあ、俺帰るから!また明日」
余計なことを話されないうちにとさっさと沢木に駆けよる
「駆、彼は?」
「えーっと、俺の友人です。鷺川望と言って、家が近所なんです」
「そうだったんですか、じゃあ、行きましょうか」
「はい。お待たせしてすみません」
残っていたクラスメイトがこちらを見ているがとりあえず、今日はこの場を離れることを優先する
明日、質問攻めに合うんだろうな
「でも、今日は沢木さんが迎えに来てくれるなんてビックリしました」
「仕事が早く片付いたので、迎えに来ちゃいました。でも、遅いから心配したんですよ」
「あ…すみません」
「別に攻めてるわけじゃないんですけどね。それより、今日はどこか寄り道してから帰りましょうか?」
「え?寄り道?」
「えぇ、折角ですしね。どこに行きましょうか」

雨が上がり、夕日のオレンジ色を映す水たまり
明日、どうしようかな…と少し思いながら、この後どこに行こうかと楽しそうに笑う沢木の様子がなんとなく面白くて笑い返した
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